「簿記やってみたい!」のひとことから
ある日、娘がふと「簿記を勉強してみたい!」と言いました。
私は思わず笑ってしまいました。「簿記って、大人でも難しいんだよ?」と声をかけると、娘は「でもやってみたいもん!」と元気いっぱい。
私自身が日商簿記2級を持っているので、「じゃあ一緒にやってみようか」と始めたのが、我が家の親子簿記学習のスタートでした。
学校・遊び・勉強の毎日サイクル
学校から帰ってきた娘は、まず友達と遊びます。鬼ごっこやカードゲームで大はしゃぎして帰ってくると、私が声をかけます。
「さあ、簿記の時間だよ」
「えーっ、もうちょっと休みたい!」
最初はブツブツ言うのですが、机に向かえばスイッチが入るのが娘らしいところ。宿題を終えてから、1~2時間は簿記のテキストや問題に取り組むのが習慣になってきました。
難しい言葉との格闘
簿記を学び始めると、すぐに壁にぶつかりました。
「資産」「負債」「繰越利益剰余金」――小学3年生にとっては、どれも初めて見る言葉や漢字ばかり。
「パパ、この漢字むずかしい!」
「“資産”はね、自分の宝箱みたいなものだよ」
「じゃあ“負債”は?」
「借りてるもの。お友達に消しゴムを借りてるみたいな感じかな」
娘はノートの端に絵を描いて、「資産=宝箱」「負債=借り物」とメモしていました。自分なりの工夫で覚えていく姿に、思わず感心しました。これが娘流の“日式ハック”なんだな、と微笑ましく思いました。
嫌になっても「続けること」
もちろん、毎日うまくいくわけではありません。
「もうやだー!」「今日はやりたくない!」と机に突っ伏す日もあります。
そんなとき、私はこう声をかけます。
「いいよ、今日は5分だけにしよう。その代わり、毎日続けようね」
不思議なもので、「5分だけ」と言うと娘はしぶしぶ問題を解き始めます。そして気づけば30分、1時間と集中していることもあります。終わったあとに「やっぱりやってよかった!」と笑う姿を見ると、続ける大切さを一緒に学んでいる気がします。
親子で学び続ける日々
簿記の勉強を始めてから、娘は「今日は昨日よりできた!」と小さな成長を嬉しそうに話してくれるようになりました。難しい問題も、自分なりに解けるようになったときの喜びは大きいようです。
私にとっても、娘に説明することで知識の再確認になり、簿記を通じて「学び直し」ができています。親子で机に向かい、一緒に悩み、一緒に喜ぶ――その時間がとても貴重に思えます。
「勉強って、続けるの大変だけど楽しいね」
娘がそう言ったとき、この挑戦を始めて本当に良かったと感じました。